日本酒できるかな その8  ~ やりすぎ麹ぃ ~

蒸したお米の一部は30度くらいまで冷却したあと、麹をつくるために「室(ムロ)」と呼ばれる部屋に運ばれます。


このムロは麹菌の繁殖のため、30℃~40℃くらいに保温された言わば「麹菌繁殖専門室」。
厳寒の蔵の中にあってここだけは亜熱帯な温度になるわけですから、その温度差に慣れるのにも一苦労。


またこの温度域は麹菌のみならず他の最近も繁殖しやすい温度帯のため、蔵の中でも特に消毒に気を使う部屋。

ですから出入りするときにはもちろん手洗い・消毒を入念に。



この部屋で蒸し米の上にもやし(麹の種ですな)をパラパラと振りかけたらいよいよ作業開始です。



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もやしを蒸し米に均一にいきわたらせるように、また温度も均一にするようにもやしのかかった蒸し米を「練りちぎって」いきます。


この「練りちぎる」という表現が的確なのかどうかはよくわかりませんが、これは今までみたことのない特殊な動作。

山のように固まった粘性の高い蒸し米を裂くというかちぎるというかこね合わせるというか・・・。

いや、こねてダンゴにするわけじゃないんですけどね。
蒸し米ってのはおもったよりも固くて、少々こねたりしてもつぶれたり糊状になったりせず粒々のカタチを保ったまんま。

なのでこの「練りちぎる」という作業を通して、米の粒子の表面にまんべんなくもやしを付着させていってるのでしょう。




ちなみにI野さん達が上着もズボンも脱いでいるのは、ムロの中があついこともさることながらムロへの雑菌の侵入を最小限に抑えるため。服やズボンには外部からの雑菌が付着しやすいんですって。

脱いでいるのはI野さんが裸族の酋長だから・・というわけではありません。多分。



裸「おえ!何をぶつぶつ言よんなら!おめぇも早う脱いで手伝えぇ!」

え・・・ボ、ボクも脱ぐんですか??

裸「当たりめぇじゃろうが!おめぇなんか特にばい菌多そうじゃけえシャツも脱げえ!」

ひ、ひいいいいっ!や、やめてくださいっっっ!!!


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          ⇒板野さんにひんむかれてしまったなかやん。
           これはもしや去年ひんむいたイノシシの呪いか。




しかし写真で見てもわかるように、結構な量でしょ?
これ全部練りちぎっていくの思ったより大変。
しかも気温は亜熱帯。真冬なのに体中ぽっかぽか。
裸でも暑いくらい。



練りちぎり終わった米はまた一まとめにして断熱シートをかぶせてしばらく放置。

放置している間に、どんどんと麹菌が米の中に繁殖していくわけです。


麹菌が繁殖するとともに発生してくるのが熱。
菌といえども生命体なわけですから、活動するとともに、繁殖するとともに発熱してきます。

そして温度が高まってきたところで再度練りちぎり。
あんまり温度が高まりすぎても麹の活動が弱まってくるんですね。

ちょうどいい温度まで放冷するためにも練りちぎって、内部の熱を逃がしてやる必要があるのです。


この作業を一日数回繰り返し。

丸一日たった米は麹菌の活動のおかげで水分が若干抜けて表面がカピカピに。
ダンゴ状の米も手に握ってグワシ!と力を加えるとパラパラと崩れていきます。




パラパラにした蒸し米はムロの中にある製麹装置に入れて布をかけておきます。

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          ⇒製麹装置



これは麹の温度を管理するための装置。
麹米の中に温度計を差し込んでおいて、その温度が一定となるようにファンがまわったりとまったり。いわゆるフィードバック制御というヤツですね。


この装置がなかった時代は人がずううっと24時間張り付いて温度を管理しなければいけなかったそうで、それはそれは大変な作業だったそうです。



そして製麹装置でさらに一日置いておくとキレイな麹が出来上がります。
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          ⇒しっとりと固まった麹。手でつつくとカンタンにほぐれる。





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          ⇒パラパラにほぐれた麹



ちょうどいい加減に繁殖した麹。
このまま暖かいところにおいておくと麹が繁殖しすぎてしまうので、この辺で繁殖をとめてやらなければなりません。



これを板の上に薄く広げて、表面を波状にしてムロから出して冷却してやります。
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          ⇒接写。表面にびっしりと白い菌糸が繁殖しているのがわかるでしょうか。



こうやって麹が完成します。
麹を食べてみると、少し乾燥はしているものの中はしっとりとしており、かすかな弾力を感じたあとにホロリと崩れます。そしてかみ締めていくとあとからほんのりとした甘みが追いかけてくる感じ。
香りは茹でたての栗を思わせるようななんとも官能的な甘い香り。


裸「うめかろーが。ワイも子供の頃からコレが好きでなあ。蔵に遊びに来ちゃあ、麹をポリポリ食べよーったんよ。」


はい!確かにこれはなんともいえん旨さです。ポリポリ。特にこの香りがいいですね。


裸「このなあ、温度を管理していくんが難しいんよ。ちょっと時間を過ぎると温度上がりすぎることもあるしな。うまーく麹菌を繁殖させていくんは勘とコツと経験を上手く組み合わせんと絶対にできんのんじゃ」


なかなか奥の深い世界なんですね。もやしは買うことが出来るみたいですが、それを繁殖させていくのは杜氏の仕事。蔵によって麹の出来栄えはまるで違うそうです。



今回は長きにわたって麹の作り方を書いてきました。

特殊な作業でしたね。
少し、難しかったですか?(←いがわゆり蚊のチェンバル語講座風に)


では次回またお会いしましょう。
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by umanichi | 2009-03-07 11:26 | 大人のできるかな  

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