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日本酒できるかな その6 ~いよいよ米を蒸す~

野性爆弾東京進出バンザーイ!!!(やりすぎコージーより)

昔、未来芸人にも出てたしこれはホントにブレイク間近か??


こんばんわ。
なかやんです。

せっかく日本酒造ってきたのに最近はジンばっかり飲む日々です。
タンカレーうまし!!



えーっと前回はお米を洗って水に漬けるところまで書いたんでしたね。


今回はいよいよ蒸すところ。
最初の大きなイベントです。



まずは道具のご紹介。
蒸気を作るのは釜。

五右衛門が入ってたアレですね。
人が3~4人は楽勝で入れてしまうくらいのでかさ。

お湯が入った状態で、ここに落ちると即死は免れないでしょう。
危険が隣り合わせの職場です。周辺に近づくときは充分気をつけて・・・。


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         →これが、釜。
          使うときは蓋の上に甑(こしき・奥の白いやつ)を乗っけます。


この釜に熱を加えてもくもくと蒸気を発生させるわけですね。
家庭用蒸し器の一番下の部分、と考えてもらっていいでしょう。
たっぷりの水を張り、熱を加えて蒸気を発生させる部分。



そして、蒸し器でいう上の部分にあたるのが甑(こしき)。
実際に米を入れる部分です。下に穴があいており、釜から発生した蒸気が下から出てきて、米が蒸されるという寸法。




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         →これが甑。布が巻いてあるのは断熱のため。
          甑は金属製のため冷たい外気に当たると内面が結露してしまうのだ。
          結露するとその部分の米が水分過多になりべちゃべちゃに。
          そのためしっかりと断熱することが必要。




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         →甑底面部。
          ホントは左半分にも穴あきの板があるがわかりやすくするため取り外した。
          この穴あきの板から均等に蒸気がシューシューとでてきます。
          真ん中に見える小さく丸いのは「コマ」と呼ばれる部分。
          「コマ」の下が釜に通じており、釜から発生した蒸気は「コマ」を通じて
          穴あき板の下に導かれ、上に上がって米を蒸す。




そして、きっちり時間管理して浸漬させた米を甑の中にいれて蒸します。


まずは甑の内部に布を敷き(蒸し米を取り出しやすくするため。断熱の意味もある。)



どどーっと米を入れていきます。
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重たい米を100kg以上手作業で運ぶのはとっても大変。



んで、米をたいらにならしていきます。
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ほら、米の面がでこぼこしてるとするじゃないですか。
そうすると山になってる部分は蒸気が通りにくく、谷になってる部分は蒸気が通過しやすくなるわけ。要は米の層の薄い部分に選択的に蒸気が流れるってわけですね。

そうすると蒸しムラができるため均等にお米をならしていく必要があるわけです。
なるほど!一理ありますな!!


そして、上から布の蓋をし、熱を加えて一気にお米を蒸しあげます!
時間にして80分~90分くらい。



モクモクモク
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釜の上に甑が乗っかり米が蒸されてます。
甑の上にのった布の蓋は蒸気の圧力によってドーム状にぷっくり膨らんでるのがわかりますよね。
蔵の中には次第に米の蒸しあがったいい香りが立ち込めてきます。

さあ!仕事はこれからだ!!
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by umanichi | 2009-02-24 22:57 | 大人のできるかな  

日本酒できるかな その5 ~浸漬時間は科学的~

更新が滞っており申し訳ありません。


記憶が新しいうちに書き上げてしまわなければ・・・と思いつつ、なかなか時間がとれません。



さてさて、米を洗ったあとはお米を水につけておく工程。

水は鉄分を除去した水を使います。(鉄分が少しでもあると酒の色が変色する。これ酒造りの基本なんですって)


普通、ご飯を炊くときやもち米を蒸すときなんかは数時間以上お米を水にひたしますよね。
精米歩合が高い米を使う場合はこれと一緒。



ところが吟醸なんかの精米歩合が低い米でこれをやるとどうなるか。
精米歩合が低いってことはそれだけ米のツブツブの大きさが小さいということ。

つまりあっというまに中心まで水が染みてしまい、過剰に水を含んでしまう。

これを蒸しあげると、べっちゃべちゃの蒸し米になってしまいお酒にするにはむかないんですね。


理想的な蒸し米っていうのは中心までふっくら蒸されてる(デンプンがα化してる)にもかかわらず、指の腹でぎゅううっと押してもつぶれずゴムのような弾力を持った米。


こういう蒸し米を小さな米粒(精米歩合の低い米)で作るためには吸水率をしっかりと管理しなければいけません。


その日の米の状態、ひたす水の温度・・・吸水に影響を与える要素は様々。
いろんな要素を勘案し、浸漬時間を決定していくのが杜氏の重要な役割。

日ごろのデータの蓄積と職人の勘が要求される高度な技術です。


もちろん米を洗う時間にも米は水を吸います。
だから管理するのは【米を洗う時間】+【浸漬時間】なんですね。


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         →お米はこういう袋の中で洗って、浸漬します。
          ストップウォッチ片手にせーので水に入れ、せーので引き上げます。



日々の条件によって浸漬時間が変わるってのはさっき言ったとおり。
なので杜氏の決めた浸漬時間がかならずしもカンペキとは限りません。


そこでどうするか。


例えば100kgの米を準備するとして、その中の5kgの米を2つ(5kg×2=10kg)取り出す。

で、ためしにその2つを
① 【米を洗う時間】+【浸漬時間】=18分 のものと
② 【米を洗う時間】+【浸漬時間】=19分 のものをストップウオッチで正確にはかり準備する。

その2つの重さを測定して、浸漬前の重さと浸漬後の重さを比較し、吸水率を計算してその日の浸漬時間を決定する、という具合。

例えば吸水率15%を狙っていて、①の18分だと10%、②の19分だと20%になった場合、その日は残りの90kgを18分30秒で吸水させるんですね。




うーん。こりゃなかなか科学的ですな。
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by umanichi | 2009-02-22 11:03 | 大人のできるかな  

日本酒できるかな その4 ~まずはお米の準備から~

その3で書いたように、日本酒作りでまず最初にしないといけないのが蒸し米作り。


米といっても普段ボクたちが食べてるようなお米じゃありません。
酒造好適米と言って、お酒造りに特化してるようなお米。

山田錦とか五百万石なんかの銘柄が有名ですね。


そのお米をよ~~~っく精米したお米を使います。


普段ボクたちが食べてるお米は精米歩合約90%。
玄米のうち10%をヌカとして捨てて、あとの90%が食べる部分。


日本酒に使用する米は精米歩合70%や60%はザラ。
大吟醸クラスになると50%くらいまで米を磨きます。


中には精米歩合23%なんてお酒まであったりして。


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         →今回純米酒に使用した酒米。
          パールライスでこんな作業もしていたとは・・・!



そんな風に極限まで磨き抜かれたお米を、まずは最初に水洗い。


フィルタを通し、鉄分を除去した水でお米をキレイに砥いでいきます。
(鉄があると酒の色が汚くなってしまう)



普通のお米なら洗米機で出来ます。



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       →洗米機
        左下の茶色い木箱に米を入れると右中央部の銀色のパイプから
        洗われた米が出てくる。



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       →お米を入れているところ




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       →出てきた米は袋に入れます


 

ところが精米歩合が50程度以下の米になると洗米機では米が割れてしまう。
そこで、どうするか。


当然手洗いに。

冬の冷たい水で何十キロもの米を手で研ぐのはツラく、冷たく、正直しんどい。
でもここで手を抜いたらヌカ臭い蒸し米になってしまう。

洗う時間、研ぐ回数もきっちり計測しながらムラのないように、一日分全ての米を砥ぎ終わるまで約一時間。

水の冷たさで手のひらは完全に感覚を失う仕事。

それもこれも美味しいお酒のため。がんばらなければ。
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by umanichi | 2009-02-15 21:33 | 大人のできるかな  

日本酒できるかな その3 ~酒造りの概要~

アルコールがどうやって出来るかは皆さんご存知ですか?

日本酒に限らず、ほとんど全てのお酒は【糖】から出来てます。


高校の化学で習うことですが【糖】は分解されると【アルコール】と【二酸化炭素】に変化するのです。



ビールやシャンパンなんかのシュワシュワの二酸化炭素。

あれはあとから二酸化炭素を添加してるんじゃなくて【糖】から【アルコール】を作るときの副産物である【二酸化炭素】を封じ込めてるだけなんですね。



この糖を分解してくれるのが「酵母」
パン作りの時に使うドライイーストなんかも酵母の一種です。

この「酵母」がパクパクと糖を食べて二酸化炭素とアルコールを排出してくれるわけ。



つまり【糖】に「酵母」を加えると【アルコール】と【二酸化炭素】が出てくるのです。





じゃあ、その【糖】はどこから持ってくるのか。


ワインやシードルなどの果実酒は簡単ですね。
果物の中に【糖】が含まれてるから。


果実をつぶして「酵母」を加えてやればお酒が出来る。

実は葡萄の皮には「酵母」が自然に生息しているためワインなんかは取れたばかりの葡萄を潰してやるだけで自然と【糖】の分解が進みお酒が出来上がる。


非常に原始的なお酒と言えます。




一方日本酒はどうか。

原料の米には糖分は含まれてません。

しかし米の中に含まれているデンプンは分解されると糖になるんです。


小学校のときに実験したジャガイモにヨウ素をつけると紫色になるけど、唾液につけたジャガイモは紫色にならない・・・っていうあれですね。

唾液がデンプンを分解して糖にしてるから唾液につけたジャガイモは変色しない。



日本酒に唾液を入れるわけにはいかないので、デンプンを【糖】に変えてやるためには「麹」を使います。


つまり「麹」がデンプンを【糖】に変えてくれる。



以上の話をまとめると




              麹
              ↓
   【デンプン】 --------→ 【糖】 



              酵母
              ↓
   【糖】    --------→ 【アルコール】+【二酸化炭素】



この二つの反応を利用して作っているのが日本酒。



非常~に乱暴な言い方をすれば
水の中に蒸した米と麹と酵母を入れて、麹や酵母が繁殖するよう適切な管理をしてやれば日本酒が出来ます。



ってのは蒸したお米に麹菌を植えつけて作ります。


だから、日本酒作りのスタートはまず蒸し米作りから。
米を洗って、水に漬け、蒸す。


蒸し米の一部は麹菌を植えつけて麹を作る。


残った蒸し米は水と麹と酵母と一緒に発酵させる。


発酵させたものを絞ってろ過すれば日本酒が出来上がり。



これが日本酒作りの大まかなプロセスなんですね。
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by umanichi | 2009-02-12 09:34 | 大人のできるかな  

日本酒できるかな その2 ~蔵での生活~

板野酒造場は岡山市西部に位置する小さな酒蔵。

吉備津彦神社という桃太郎で有名な神社のほど近くにあります。



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        →隣接している店舗では小売もやってたりします。




年間の生産量はわずか100石から150石程度。
きびの吟風取扱量のほとんどは地元岡山で消費されてしまい、他県にはなかなか出回らないのが実情。特に愛知県で飲むにはかなり難しいお酒、と言えます。



なかやんの実家は岡山市東部。
蔵にお手伝いに行くときには朝5時に起きて、すぐに支度を整え板野酒造に向かいます。



蔵に着くと、まずは控室に。

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          →控室
           ここで着替えたり、休憩したり、暖を取ったり。


ここで全員が揃うのを待ちます。



全員が揃ったところでI野さんの「よっしゃ、行こうか」との声がかかり、全員で蔵の中へ。ピーンと張り詰めた冬の空気の中に入っていくと自然に背筋がのびます。

もちろん蔵の中にはほんのりと日本酒のいい香りが。




紙の帽子をかぶりマスクをしたら、もちろん手洗いと消毒を。

なかやんは食品関係の仕事に従事したのは初めてだったのでオドロキだったのですが、ホントに彼らはよく手を消毒します。ちょっと作業をしたら手洗い、部屋を移るときにも手洗い。もちろん手洗いにはセットでアルコール消毒付き。
一日に何十回と手を洗うこともザラです


おかげで手の脂はすっかり抜けきってカサカサに。
一週間もいると手の皮はボロボロになってしまいます。


食品関係は全般的に清潔を旨としているのでしょうが、特に雑菌に対してナーバスな醸造関係の仕事は雑菌撲滅のために想像以上の労力を払ってるんですね。


意地は汚くても指だけはキレイだったなかやん。
修行の間にすっかり指まで汚くなってしまいました^^;


しかしやっぱり酒作りでは清潔は全てにまさり優先される事項なのですね。

作業の空き時間が少しでも出来れば水洗、消毒、掃き掃除。
冬の冷たい水で道具洗いするのは思った以上にツライ仕事。

でもそれもこれもみんな美味しいお酒のため。がんばらなければ。





一般的にお米がお酒に変わるまでは約30~40日。
従って何種類ものお酒を作る(普通酒、本醸造、純米、吟醸・・・など)場合は毎日違うお酒の作りをスタートしてやるわけです。

【イメージ】
   ▽:初日  
   ▼:最終日


純米酒:  ▽-----------→▼

吟醸酒:     ▽------------▼

大吟醸:         ▽------------▼


この絵で言うと大吟醸の初日には吟醸酒の5日目、純米酒の8日目の仕事も平行してやらなければいけない、ということ。

つまりお酒の種類が増えれば増えるほど同時平行的に多様な酒の管理をしなければいけない、ということ。

コレ、やってみなければなかなか実感はわかないでしょうが結構骨が折れる仕事です。





骨が折れると言えば力仕事も。
なるべく人の目が行き届くようにと、必要以上の機械化は行っていない昔ながらの酒蔵。

特に原料の米や麹の運搬は出来るだけ丁寧に扱わなければならないため、ほとんどが人の手によることが多いです。

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          →これが一日に使う米。
           一袋は30kg。
           家庭用の米袋が普通10kgなのでその3倍。
           その袋をこれだけ。これ全部人力で運びます。
           運び終わったら腕も腰もパンパン。




また安定した品質を保つためには徹底した温度管理と計量が欠かせません。
固体物質を扱ったことのある人は分かってもらえるかと思いますが、固体の温度管理ってのはホントに難しい。

ホラ、できたばっかりのオニギリって表面と真ん中で温度が違うじゃないですか。
じゃあ、どこの温度を測ればいいのか、ってそれがなかなかわからない。

経験と勘がものをいう世界です。
うーん。この辺がやっぱりプロの世界なのかな。







それにしても「清潔」「力仕事」「細かな計量・計測」などなどなかやんの苦手分野のものばかり。

果たしてこんな人間に酒造りが務まるんでしょうか。

不安と期待が交錯しながらも酒造りは続いていきます。


次章からはいよいよ各工程の解説を。

お楽しみに!
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by umanichi | 2009-02-10 23:18 | 大人のできるかな  

日本酒できるかな その1 ~杜氏との出会い~

「センパイんとこの蔵で日本酒作らせてもらえませんか」

という電話をさせてもらったのはもうずいぶん昔の話。



「おお~ほんまか~。ええよ~来てくれりゃあ~」

といいながら快諾してくれたのはI野さん。板野酒造場の専務でありながら自らも杜氏を勤めるお方だ。(全く伏字になってなくてスミマセン)


I野さんとの出会いは大学時代。
当時県人寮に住んでいたなかやんの先輩にあたる。


I野さんは、近所の住民から「高輪動物園」と揶揄されるほどの無法地帯であった県人寮の中でもひときわワイルドでひときわ蛮猛であったことで勇名を馳せたバーバリアンであった。

また、己のファッションにも相当なこだわりを持っておられ、寮内のコンテストにおいて何度もベストヌーディスト賞を受賞したほどのダンディでスタイリッシュな裸族でもあらせられる。


I:「なんなら~!!この紹介文は~!!」

失礼、大変後輩思いの素晴らしい裸族である。

I:「フォローになっとらん!!」



そんなI野さんの人となりを表す痛々しいほどの痛快なエピソードは枚挙に暇がないのであるが、そんなことはとてもここでは公表できない。



話が横道にそれてしまった。
I野さんの人となりはさておき、酒作りに話を戻そう。

I:「さておくな!!」


なかやんが酒を造るといってももちろん自分自身の酒を作るわけではない。
板野酒造場の酒「きびの吟風」をつくるお手伝いをさせてもらおう、というわけだ。

ま、杜氏見習体験ってとこですね。



このきびの吟風。

全国区では全くの無名ではあるが、I野さんが杜氏になってからというもの何度も試行錯誤を繰り返し、お世辞抜きで相当旨い酒になっている。いや、ホントに。
特に純米酒の旨さは筆舌に尽くし難く、ぬる燗で飲むには最高にオススメ。

吟醸より純米に特徴が出てますね。雑味はないのにどっしり一本芯が通った力強い味。
ちょっと味の濃い目の料理にも力負けせずにしっかりと受けとめてくれそう。


全国鑑評会でも何度も金賞を受賞し、中国地区での首席に輝いたこともある堂々たる実力派の酒だ。



な:「え~っと、これくらい書いとけばいいですかね?」

I:「無名は余計じゃあ!!」




せっかくお手伝いさせていただくのだから少しばかりじゃつまらない。
ちょっと長めに蔵の中に入り、日本酒についてもしっかりと勉強をしたい、というのが今回の趣旨。

「夏子の酒」を読みながら日本酒の造り方について勉強をし、虎視眈々と長期休暇の計画を練っていた。

そしてこの冬会社から長期休暇をいただける目処も立ち、無事に板野酒造へ修行へと旅立ったのであった。


I野:「あれ?そういやあ、おめえ長期休暇やこ取って家族はどしたんな~?」

・・・失礼。波乱万丈な修行生活がスタートしたのであった。
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by umanichi | 2009-02-10 08:26 | 大人のできるかな